
注文請書・受注確認書の書き方とテンプレート|印刷業向け【2026年版】
印刷の注文請書・受注確認書は、発注者名・件名・仕様・数量・金額(税込)・納期・支払条件・受注日など約12の必須項目を漏れなく記載すれば、受注内容の合意を証拠として残せる書類になります。口頭やメールだけで受注を進めると、後から「言った・言わない」の仕様変更トラブルや、数量・納期の認識違いが起きやすくなります。受注の段階で内容を書面化しておけば、その後の作業指示・再版・請求までを一貫した記録でつなげられます。
本記事では、注文請書と受注確認書の違いや請求書・発注書との関係を整理したうえで、印刷会社がそのまま使える記載必須12項目のテンプレート表と受注確認書の文例、収入印紙の要否、電子発行時の注意点までを印刷業の実務に即して解説します。汎用の書式配布とは異なり、判型・用紙・色数・加工といった印刷特有の仕様欄まで踏み込んでいるのが特徴です。
注文請書・受注確認書とは|請求書・発注書との違い
注文請書・受注確認書とは、発注を受けた印刷会社が受注内容を書面化して発注者に示す書類の総称です。受注時点で仕様・数量・金額・納期を確定させ、双方の合意を証拠として残す役割を持ちます。まずは似た書類との違いを整理し、どのタイミングで何を発行するのかを共通言語にしておきます。

注文請書と受注確認書の違いと使い分け
注文請書と受注確認書は、実務ではほぼ同義で使われますが、示す内容の軸が異なります。注文請書は、発注者の注文に対して受注者である印刷会社が承諾(請け)を示して発行する書類で、契約の成立そのものを証する意味合いが強いものです。一方の受注確認書は、受注した仕様・数量・金額を発注者に確認・通知する書類で、内容の合意確認に軸足があります。
使い分けの目安は、契約成立を明確に残したいときは注文請書、受注内容の確認を丁寧に伝えたいときは受注確認書、と考えると整理しやすくなります。どちらも記載する項目自体は共通しているため、自社では様式を1つに統一し、表題だけ用途で使い分ける運用が現実的です。
見積書・請求書・発注書との関係(書類フロー早見表)
注文請書・受注確認書は、受発注の流れの中では「受注が確定した直後」に位置します。見積書→(発注書)→注文請書・受注確認書→作業指示書→納品書→請求書、という順に書類は進みます。発行タイミングを取り違えると、まだ受注していない案件に請求書を出すといった事故につながります。
| 書類 | 発行者 | 発行タイミング | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 見積書 | 印刷会社 | 受注前 | 価格・条件の提示 |
| 発注書 | 発注者 | 発注時 | 注文の意思表示 |
| 注文請書・受注確認書 | 印刷会社 | 受注確定時 | 受注内容の合意・証拠化 |
| 作業指示書 | 印刷会社(社内) | 制作着手時 | 現場への指示 |
| 納品書 | 印刷会社 | 納品時 | 納品事実の確認 |
| 請求書 | 印刷会社 | 納品後 | 代金の請求 |
注文請書は受注時、請求書は納品後という発行タイミングの違いを押さえておくと、書類の役割が混ざりません。納品後の請求とインボイス対応については印刷会社のインボイス対応・請求書の出し方で別途詳しく解説しています。

注文請書・受注確認書のテンプレート|記載必須12項目
注文請書・受注確認書に載せるべき項目は、印刷業では約12項目に整理できます。汎用テンプレートとの最大の違いは、判型・用紙・色数・加工といった印刷特有の仕様欄を含める点です。ここを省くと、後工程で仕様の解釈違いが起きます。この12項目テンプレート表が本記事の中心です。

そのまま使える記載必須12項目【一覧表】
次の12項目を1セットとして様式に組み込めば、印刷案件の受注内容を漏れなく書面化できます。用紙・色数・加工の欄を具体的に残すことが、印刷会社の受注確認書の要点です。
| No. | 項目 | 記載する内容の例 |
|---|---|---|
| 1 | 表題 | 注文請書/受注確認書 |
| 2 | 発行日・受注日 | 書類の発行日と受注確定日 |
| 3 | 発注者名 | 得意先の会社名・担当者名 |
| 4 | 受注者情報 | 自社の社名・住所・連絡先・登録番号 |
| 5 | 件名(品名) | チラシ・冊子・パンフレット等の案件名 |
| 6 | 仕様 | 判型・用紙・色数・加工・ページ数 |
| 7 | 数量 | 部数・単位 |
| 8 | 単価・金額 | 単価・合計金額(税込・消費税区分) |
| 9 | 納期・納品場所 | 納品予定日と届け先 |
| 10 | 支払条件 | 締め・支払日・支払方法 |
| 11 | 入稿データ・支給品 | 支給データ・支給品の受領有無 |
| 12 | 備考 | 校正条件・特記事項 |
設計の要点: 6番の仕様欄は自由記述にせず、判型・用紙・色数・加工を項目化しておくと、再版時や社内での検索がしやすくなります。8番の金額は必ず税込と消費税区分をそろえて記載します。
収入印紙の要否と貼付(要一次確認)
印刷は成果物の完成を約す請負に当たるため、紙で交付する注文請書が請負に関する契約書(印紙税法の第2号文書)とみなされる場合には、収入印紙による印紙税の課税対象になり得ます。ただし、契約金額の区分ごとの具体的な印紙税額や、どの書式が課税文書に当たるかの判定は、国税庁の一次情報で必ず確認してください。本記事では金額・区分を断定しません。
電子データのみで交付・授受する場合の印紙税の扱いも、紙の交付とは異なる考え方があります。自社の運用が課税対象になるかどうかは、様式と交付方法をあわせて一次情報で確認するのが安全です。

受注確認書の文例(コピーして使える書式例)
受注確認書は、あいさつ文に続けて前掲の12項目を配置すれば、最小構成の書式として成立します。次の文例を自社の社名・ロゴ・登録番号に差し替えて使えます。
拝啓 平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。下記のとおりご注文を承りましたので、内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。 件名:(案件名)/仕様:(判型・用紙・色数・加工・ページ数)/数量:(部数)/金額:(合計・税込)/納期:(納品予定日)/納品場所:(届け先)/支払条件:(締め・支払日)/受注日:(日付)/備考:(校正条件等) 内容に相違がある場合は、お手数ですが下記までご連絡ください。
宛名・件名・合計金額(税込)・納期・支払条件・問い合わせ先を入れておけば、確認の往復が減ります。
注文請書・受注確認書の作り方の手順
注文請書・受注確認書は、承認済みの見積内容をそのまま転記して作るのが基本です。ゼロから入力し直すと転記ミスや二重入力が発生します。ここでは発行までの流れと、電子発行時の保管の注意を順に見ていきます。
見積承認から注文請書発行までの流れ
発行までは次の5ステップで進めます。見積の内容を起点にすることで、金額・仕様の食い違いを防げます。
- 見積書を提示し、価格と条件を発注者に確認してもらう
- 発注者の承認・発注(発注書の受領)を受ける
- 受注内容(仕様・数量・金額・納期)を確定させる
- 注文請書・受注確認書を発行して発注者に交付する
- 控えを受注番号とともに保管する
このとき、承認済みの見積内容をそのまま注文請書に転記すると、再入力の手間とミスを同時に減らせます。あわせて受注番号を採番しておけば、以降の作業指示書・納品書・請求書まで同じ番号で紐づけられ、案件の追跡がしやすくなります。川上の見積づくりについては印刷会社の見積の作り方 完全ガイドを参照してください。
電子発行(PDF・メール)と保管の注意(要一次確認)
注文請書・受注確認書は、PDFなどの電子データで発行・授受することもできます。電子取引で授受したデータは、電子帳簿保存法の保存要件(真実性・可視性の確保など)に従って保存する必要がある点に注意します。具体的な保存要件やタイムスタンプの扱いは、国税庁の一次情報で確認してください。
紙・電子のいずれで発行する場合も、受注番号でファイルを整理し、再版時にすぐ呼び出せる状態にしておくことが実務では重要です。保存場所と命名規則を社内で統一しておくと、担当者が変わっても迷いません。
印刷業の注文請書で押さえる実務ポイント
印刷業の注文請書で特に重要なのは、請負契約としての仕様の明記と、再版・下請取引への備えです。汎用テンプレートでは抜けやすい印刷特有の観点を、課題と対策の形で整理します。
印刷は請負契約:仕様・数量・入稿データ受領を明記する
印刷は成果物の完成を約す請負契約に当たるため、判型・用紙・色数・加工・数量といった仕様を注文請書に具体的に書き込むことが、後の仕様変更トラブルを防ぐ要点です。「白黒のつもりだった」「用紙が指定と違う」といった認識違いは、仕様欄が曖昧なほど起こります。
あわせて、支給データや支給品を受領したかどうかも明記します。入稿データの受領有無が記録に残っていないと、データ未着による納期遅延の責任があいまいになります。色校の要否や校了のタイミングといった校正条件も、受注確認の段階で条件化しておくと安全です。
下請取引の書面と再版時の受注確認を効率化する
元請から製造委託を受ける下請取引では、下請法上の書面交付が関係する場合があります。対象となる取引の範囲や書面の記載事項は、中小企業庁など公的機関の一次情報で確認してください。本記事では条番号や具体要件を断定しません。
一方で、同じ得意先からの再版では、前回の仕様・数量・価格を再版データベースの作り方で整えたデータから呼び出せば、注文請書・受注確認書をほぼ再作成でき、受注確認の手間を大きく減らせます。毎回同じ内容を入力し直す必要がなくなります。
印刷HUBの受注管理と再版データベースを使うと、過去案件の仕様・数量・価格を呼び出して受注確認書を再作成でき、機械連携を前提としないシンプルな設計で導入できます。料金は初期費用¥30,000(税込)、月額は1〜5名で¥4,980/名(税込)、6名以上で¥2,980/名(税込)です。受注から再版・請求までの全体像は受注管理・顧客管理 完全ガイドでも解説しています。無料で製品体験のうえ、資料請求・お問い合わせから判断いただけます。

よくある質問(FAQ)
Q. 注文請書と受注確認書は何が違うのですか?
A. 注文請書は、発注に対して受注者が承諾(請け)を示す書類で、契約の成立を証する意味合いが強いものです。受注確認書は、受注した内容を発注者に確認・通知する書類で、内容の合意確認に軸足があります。実務ではほぼ同義で使われるため、様式を1つに統一し、表題だけ用途で使い分ける運用が現実的です。記載する項目自体はどちらも共通しています。
Q. 印刷の注文請書に収入印紙は必要ですか?
A. 印刷は請負に当たるため、紙で交付する注文請書が請負に関する契約書(印紙税法の第2号文書)とみなされる場合には、印紙税の課税対象になり得ます。ただし、契約金額の区分ごとの税額や課税判定は国税庁の一次情報で確認が必要です。本記事では税額や条番号を断定しません。電子データのみで交付する場合の扱いも、あわせて一次情報で確認してください。
Q. 注文請書は電子(PDF・メール)で発行してもよいですか?
A. PDFなどの電子データでの発行・授受は可能です。ただし、電子取引で授受したデータは電子帳簿保存法の保存要件に従って保存する必要があります。具体的な保存要件やタイムスタンプの扱いは国税庁の一次情報で確認してください。電子のみで交付する場合の印紙税の扱いも、紙の場合とは考え方が異なるため一次情報で確認するのが安全です。
Q. 受注確認書に最低限書くべき項目は何ですか?
A. 発注者名・件名・仕様(判型・用紙・色数・加工)・数量・金額(税込)・納期・支払条件・受注日・自社情報など、約12項目です。特に印刷では、判型・用紙・色数・加工といった仕様欄を具体的に残すことが重要です。詳しくは本文の記載必須12項目テンプレート表を、自社の様式に合わせて活用してください。
Q. 毎回同じ得意先の受注確認書を作るのが手間です。効率化できますか?
A. 再版データベースで前回の仕様・数量・価格を呼び出せば、注文請書・受注確認書をほぼ再作成でき、手入力を減らせます。同じ得意先のリピート案件では、過去の受注内容を起点に確定内容を差分だけ更新すれば済むため、確認の往復も短くなります。受注番号で案件を紐づけておくと、再版時の呼び出しがさらにスムーズになります。
まとめ|注文請書・受注確認書で受注の合意を証拠化する
注文請書・受注確認書は、発注者名・件名・仕様・数量・金額(税込)・納期・支払条件・受注日など約12項目を漏れなく記載することで、受注内容の合意を証拠として残せます。印刷では判型・用紙・色数・加工の仕様欄と、入稿データの受領有無を明記するのが要点です。
作成は承認済みの見積内容を転記し、受注番号で以降の作業指示・請求まで紐づけると、二重入力とミスを防げます。収入印紙や電子保存の要件は一次情報で確認しつつ、再版データベースを併用すれば、リピート案件の受注確認まで効率化できます。
監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表) 印刷会社の受発注・工程・原価管理など基幹業務のデジタル化に取り組んでおり、本記事は現場の印刷業の実務担当者への取材をもとに内容を設計・確認しています。
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