印刷用紙の種類と選び方 完全ガイド|斤量・判型・坪量の基礎【2026年版】
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印刷用紙の種類と選び方 完全ガイド|斤量・判型・坪量の基礎【2026年版】

2026年8月3日24分で読める

印刷用紙は「種類(塗工の有無)・厚さ(斤量/坪量)・サイズ(判型)」の3軸で選び、用途に合う紙質を決め、必要な厚みを選び、判型で無駄なく取るのが基本です。用紙は印刷物の発色・手触り・原価を左右しながら、連量・坪量・判型といった単位が入り混じって分かりにくく、担当者の経験に依存しがちな領域です。印刷同関連業の出荷額は5兆934億円(2023年・経済構造実態調査、日本印刷産業連合会集計)にのぼり、その原価の一角を用紙が占めます。本ガイドでは、用紙の分類早見表、連量と坪量の換算式、用途別の目安斤量、判型と面付けの考え方までを整理し、さらに用紙仕様を見積・再版に記録して活かす管理までを、中小印刷会社の実務目線でまとめます。

印刷用紙選びの全体像|種類・厚さ・判型の3軸

印刷用紙の選定は、細かな銘柄の前に3つの軸へ分解すると迷いません。塗工の有無で決まる紙質(種類)、連量や坪量で表す厚み、原紙寸法(判型)の3軸です。まずはこの見取り図を押さえ、以降の各章がどの軸を掘り下げるかを先に把握します。

用紙は「種類・斤量/坪量・判型」の3軸で決まる

用紙選定は下表の3軸に分けて考えると、どの案件でも同じ手順で決められます。種類で紙質の方向性を決め、斤量/坪量で厚みを合わせ、判型で無駄なく取る——この順番が土台です。

何を決めるか代表的な単位・区分
種類発色・手触り・筆記適性塗工紙・非塗工紙・特殊紙・板紙
厚さ厚み・こし・重さ斤量(連量kg)/坪量(g/m²)
判型原紙サイズ・取り都数四六判・菊判・A列本判・B列本判

この3軸は独立ではなく連動します。判型が変われば同じ厚みでも連量の数値が変わるため、種類→厚さ→判型の順で仮決めし、最後に判型で全体を最適化するのが実務的です。

印刷用紙の選定を種類と斤量坪量と判型の3軸に分解した決定ツリーの全体図
印刷用紙の選定を種類と斤量坪量と判型の3軸に分解した決定ツリーの全体図

用途から逆算する選び方の手順

用紙は「どんな成果物か」から逆算すると失敗しません。チラシ・冊子・名刺・パッケージなど用途と、予算・納期を出発点に、必要な紙質→厚み→判型の順で絞り込みます。仕上がりイメージ、発色の要否、折りや筆記の適性から入ると、候補が自然に狭まります。予算がタイトなら厚みと判型でコストを詰め、質感を優先するなら種類と銘柄から入る、と入口を使い分けるのがコツです。

印刷用紙の種類|塗工・非塗工の分類と用途

印刷用紙の種類は、表面に塗料を施した塗工紙と、塗料のない非塗工紙に大別され、これに特殊紙と板紙が加わります。塗工の有無が発色と筆記適性を分ける最大のポイントで、用途に応じてどちらを選ぶかがまず決まります。ここでは分類を早見表で自己完結させます。

塗工紙(アート・コート・マットコート)の特徴

塗工紙は表面に塗料を塗って平滑にした用紙で、インクの発色と写真再現に優れます。塗工量が多く光沢が高い順にアート紙・コート紙があり、光沢を抑えて読みやすくしたのがマットコート紙です。光沢が高いほど写真は鮮やかに映え、マットは落ち着いた上質感が出ます。チラシ・カタログ・写真集など、ビジュアルを見せたい印刷物に向きます。一方で光沢紙は照明の映り込みが出やすく、長文を読ませる冊子ではマット系が好まれる、といった使い分けがあります。

非塗工紙(上質紙・中質紙)と特殊紙・板紙

非塗工紙は塗料を施さない用紙で、筆記適性が高くインクが素直に定着します。パルプ配合の違いで上質紙と中質紙に分かれ、帳票・ノート・書籍本文・封筒などに使われます。書き込む前提の伝票やコピー用途では非塗工紙が基本です。これに加え、色や質感に凝ったファンシーペーパー等の特殊紙は名刺や案内状に、厚みとこしのある板紙は名刺の厚口やパッケージ・箱に用いられます。塗工紙が「見せる紙」、非塗工紙が「書く・読む紙」、特殊紙と板紙が「演出・構造の紙」と捉えると全体像が閉じます。

用途別おすすめ用紙 早見表

用途から用紙種類を引ける早見表を示します。あくまで代表例であり、実際の発色や質感は本紙校正(本番用紙での校正)で確認するのが前提です。

用途代表的な用紙種類選定の狙い
チラシ・フライヤーコート紙発色重視・低コスト
冊子本文上質紙・書籍用紙読みやすさ・軽さ
カタログ・写真集アート紙・マットコート写真再現・上質感
名刺・案内状上質厚口・特殊紙手触り・厚み
パッケージ・箱板紙強度・構造
印刷用紙の分類ツリーと塗工紙非塗工紙特殊紙板紙の用途別おすすめ対応を示す早見表
印刷用紙の分類ツリーと塗工紙非塗工紙特殊紙板紙の用途別おすすめ対応を示す早見表

厚さの単位|斤量・連量・坪量の違いと換算

用紙の厚みは、連量(斤量)と坪量という2つの単位で表され、この違いがつまずきの元です。連量は判型に依存し、坪量は判型に依存しません。両者は原紙面積を介して換算でき、仕組みを押さえれば数値のブレに惑わされなくなります。

連量(斤量)と坪量(g/m²)の違いと換算

連量とは、その判型の原紙1,000枚(1連)の重さをkgで表した値で、判型が違えば同じ厚みでも数値が変わります。斤量は連量の旧称で、ほぼ同義に使われます。これに対し坪量(米坪量)は用紙1m²あたりの重さをg/m²で表し、判型に左右されない絶対的な厚み指標です。両者は次の関係で換算できます。

坪量(g/m²)≒ 連量(kg)÷ 原紙面積(m²)

たとえば四六判の55kgと菊判の38kgは、原紙面積が異なるため連量の数値は違っても、坪量に直すとどちらも約64g/m²でほぼ同じ厚みになります。つまり「四六判55kg≒菊判38kg」です。判型が変わると連量値が変わるため、見積や積算で厚みを比較するときは坪量に揃えると誤解を防げます。用紙の積算・料金計算を標準化する具体手順は印刷の積算・料金計算を標準化する方法で詳しく扱っています。なお原紙の正確な寸法やJIS区分はJIS P 0202・日本製紙連合会の公表値で要一次確認とし、本記事は概略で示します。

用途別の目安斤量 早見表

用途別の目安斤量を四六判基準で早見表にします。数値は業界慣行の目安であり断定値ではありません。実際の厚み感やこしは本紙サンプルで確認するのが前提です。

用途目安斤量(四六判・kg)厚みの印象
チラシ・フライヤー約70〜110薄口〜中厚
冊子本文約55〜90軽く扱いやすい
ポスター・表紙約110〜135しっかり厚め
名刺・カード約180以上(厚口)こしのある厚み

連量が決まると必要な用紙量と用紙代の概算につながります。用紙代を外注費とあわせて原価に載せ、限界利益まで見る流れは用紙代・外注費と限界利益の原価計算で解説しています(本記事では触りだけにとどめます)。

連量と坪量の換算の仕組みを1連1000枚から総重量を原紙面積で割り坪量を導く流れで示した図
連量と坪量の換算の仕組みを1連1000枚から総重量を原紙面積で割り坪量を導く流れで示した図

判型と面付け|原紙寸法とロス削減

判型は原紙のサイズ区分で、どの判型から取るかで取り都数と用紙代が変わります。仕上がりサイズと判型の相性を見て、原紙1枚から無駄なく面付けする発想が、用紙ロスを抑える鍵です。

A列本判・B列本判・四六判・菊判の原紙寸法

JISが定める原紙は、A列本判・B列本判・四六判・菊判・ハトロン判の5種が基本です。仕上がりのA判はA列本判から、B判はB列本判または四六判から取るのが一般的です。判型ごとの概略寸法を下表に示しますが、正確なmm値はJIS P 0202・日本製紙連合会の公表値で要一次確認とし、推測で断定はしません。

原紙判型概略寸法(要一次確認)主に取る仕上がり
四六判788×1091mmB判系・一般印刷物
菊判636×939mmA判系・書籍
A列本判A判仕上がり向けA4・A5等
B列本判B判仕上がり向けB4・B5等

参考として、仕上がりのA4は210×297mmが業界標準です。どの原紙判型から取るかで、同じA4でも取り都数と歩留まりが変わります。

面付け・取り都数と歩留まりの考え方

面付けとは、原紙1枚に仕上がりを何面配置するかの割り付けで、そこから取れる面数を取り都数と呼びます。取り都数が多いほど1部あたりの用紙単価は下がりますが、断裁代やくわえ代(印刷機がくわえる余白)を確保する必要があり、無理に詰めると印刷不良の原因になります。仕上がりサイズと判型の相性が悪いと端材が増え、用紙ロスがそのまま原価を押し上げます。判型を1段変えるだけでロスが減ることも多く、見積段階で取り都数を試算する習慣が効きます。

原紙判型に仕上がりを面付けして取り都数と断裁代を可視化した歩留まりのイメージ図
原紙判型に仕上がりを面付けして取り都数と断裁代を可視化した歩留まりのイメージ図

銘柄選定と用紙仕様の管理|見積・再版への接続

種類・厚さ・判型が決まったら、最後は具体的な銘柄を選び、その仕様を記録に残します。同じ種類でも銘柄で発色や手触りが変わり、さらに用紙仕様を案件ごとに記録しておくと、見積と再版が一気に速くなります。用紙選定を「選ぶ」で終わらせず「記録して再利用する」まで設計するのが実務の要点です。

銘柄選定で確認する項目

銘柄は、白色度・不透明度(裏抜けのしにくさ)・平滑度に加え、入手性や在庫、価格改定の有無まで見て選びます。同系統の紙でも銘柄で質感と発色が変わるため、下記をチェックリスト化しておくと選定がぶれません。

  1. 白色度・色味(純白系か、やや黄みのある色か)
  2. 不透明度(裏抜け・裏移りのしにくさ)
  3. 平滑度・光沢(印刷仕上がりの質感)
  4. 入手性・在庫・リードタイム
  5. 価格改定・廃番リスクと代替候補

入手性や在庫の観点は用紙の在庫管理そのものと直結します。用紙をCSVで最小限に管理し再版と連携させる進め方は用紙在庫管理(CSV最小管理+再版連携)の進め方にまとめています。値上げや廃番が起きやすい銘柄は、あらかじめ代替候補まで押さえておくと安全です。

用紙仕様を再版・見積に活かす記録

銘柄・斤量・判型・面付け・仕入価格を案件ごとに記録しておくと、次回の見積が即答でき、再版時の探し直しがなくなります。用紙選定を反映した見積の効率化は用紙選定を反映した見積効率化の完全ガイドで解説していますが、要は「一度決めた用紙仕様を捨てずに残す」ことに尽きます。用紙仕様も保存する再版データベースの作り方は用紙仕様も保存する再版データベースの作り方を参照してください。

印刷HUBは、案件ごとの用紙マスタと再版データベースに銘柄・斤量・判型・面付け・仕入価格を保存でき、過去案件をワンクリックで呼び出して再受注につなげられます。初期費用¥30,000(税込)、月額¥2,980/名(税込・6名以上)、月額¥4,980/名(税込・1〜5名)から利用でき、機能は無料で製品体験して確かめられます。

用紙仕様を用紙マスタに保存し見積と再版データベースへつなぐ記録フローと印刷HUB連携のイメージ図
用紙仕様を用紙マスタに保存し見積と再版データベースへつなぐ記録フローと印刷HUB連携のイメージ図

よくある質問(FAQ)

Q. 印刷用紙の種類にはどんなものがありますか?

A. 大きく塗工紙(アート・コート・マットコート)、非塗工紙(上質紙・中質紙)、特殊紙、板紙に分かれます。発色や写真再現を重視するなら塗工紙、書き込む帳票や読ませる本文には非塗工紙が基本です。名刺や案内状には特殊紙、パッケージには板紙が向きます。本文の分類早見表を目安にしつつ、個別の適性は本紙サンプルで確認するのが確実です。

Q. 斤量・連量・坪量の違いは何ですか?

A. 連量は原紙1,000枚(1連)の重さをkgで表した値で、判型に依存します。斤量は連量の旧称でほぼ同義です。坪量は用紙1m²あたりの重さをg/m²で表し、判型に依存しません。換算は「坪量≒連量÷原紙面積」で、たとえば四六判55kgと菊判38kgはどちらも約64g/m²です。正確な原紙寸法やJIS区分(JIS P 0202)は要一次確認です。

Q. チラシや冊子、名刺にはどのくらいの斤量が適切ですか?

A. 四六判基準の目安で、チラシは約70〜110kg、冊子本文は約55〜90kg、名刺は約180kg以上の厚口が一つの目安です。ただしこれらは業界慣行の目安であって断定値ではありません。実際の厚み感やこしは本紙サンプルで確認するのが前提です。用途と予算に合わせ、目安斤量を出発点に調整してください。

Q. 四六判・菊判・A列本判・B列本判の原紙サイズは?

A. JISで定める原紙はA列本判・B列本判・四六判・菊判・ハトロン判の5種が基本です。四六判は788×1091mm、菊判は636×939mmが業界標準として知られます。ただしA列本判・B列本判等を含む正確なmm値やJIS区分は、JIS P 0202・日本製紙連合会の公表値で要一次確認とし、推測値は断定しないのが安全です。

Q. 用紙仕様は再版のときどう管理すればよいですか?

A. 銘柄・斤量・判型・面付け・仕入価格を案件ごとに記録しておけば、再版時の探し直しと見積の再計算がなくなります。Excel台帳でも始められますが、件数が増えたら印刷HUBの用紙マスタ・再版データベースに保存し、ワンクリック呼び出しで再受注につなげると効率的です。記録は誇張せず事実だけを残すのが、後から使える台帳のコツです。

まとめ|用紙選びは3軸+管理で決まる

印刷用紙は「種類・斤量/坪量・判型」の3軸で選ぶのが基本です。塗工の有無で紙質を決め、連量と坪量を換算しながら厚みを合わせ、判型と面付けで無駄なく取る——この順序を押さえれば、用紙選定は経験頼みから手順化できます。加えて、決めた用紙仕様を案件ごとに記録し、見積と再版に再利用するところまで設計すると、選定の成果が次の受注に効いてきます。まずは分類早見表と換算式を社内の共通言語にし、用紙仕様を残す仕組みから始めてみてください。


監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

印刷会社の受発注・工程・原価管理など基幹業務のデジタル化に取り組み、本記事は現場の印刷業の実務担当者への取材をもとに、用紙選定の実務に沿って内容を設計・確認しています。

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