印刷の発注書の書き方とテンプレート|記載項目・外注/用紙の発注様式【2026年版】
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印刷の発注書の書き方とテンプレート|記載項目・外注/用紙の発注様式【2026年版】

2026年8月4日24分で読める

印刷の発注書は、下請法が定める12の必須記載事項(両者の名称・委託日・給付内容・納期・下請代金の額・支払期日ほか)に、印刷特有の用紙・加工・色数・入稿データの情報を加えた書面を、外注先・用紙仕入先へ発注時に『直ちに』交付するのが基本で、この記載項目をテンプレート化しておけば記入漏れと検収・支払トラブルを防げます。発注のたびに担当者が思い思いの書式で書いていると、単価や色数の抜けが検収でぶれ、支払段階でのやり直しを招きます。本記事では、発注書の役割と対象取引、法定12項目+印刷特有列をまとめた記載項目表、テンプレの作り方、下請法・インボイスの注意点、そして再版発注を効率化する運用までを、発注側の印刷会社の実務目線で解説します。発注業務そのものの全体像は印刷の外注・仕入管理の完全ガイドで束ねており、本記事はその配下の発注書テンプレ実務編にあたります。

印刷の発注書とは?記載が必要な理由と対象になる取引

印刷の発注書は、発注側の印刷会社が外注先・用紙仕入先へ発注内容を確定し証跡として残すための書面です。口頭やメールだけの発注は「言った・言わない」の温床になり、数量・仕様・単価のズレが検収や支払でトラブル化します。とくに下請法の対象取引では書面の交付が法的な義務になるため、様式を固定しておく意味は大きくなります。

印刷の発注書と請求書の逆方向の流れを1枚で対比した全体像の図
印刷の発注書と請求書の逆方向の流れを1枚で対比した全体像の図

発注書の役割:発注側が外注先・用紙仕入先に交付する書面

発注書は、発注側(印刷会社)が外注先や用紙仕入先へ「何を・いくつ・いくらで・いつまでに」納めてほしいかを確定し、証跡化するために交付する書面です。口頭発注の「言った・言わない」、つまり数量・仕様・単価のズレを未然に防ぐ役割を担います。受注側が代金を求める請求書とは逆方向の書類で、発注書は発注側から相手先へ、請求書は相手先から発注側へ流れます。この向きを取り違えると、社内の書類管理も検収・支払の突合も混乱するため、まず方向を押さえておきます。

下請法が絡む取引では書面交付が義務になる

親事業者と下請事業者の資本金区分などの要件を満たす製造委託(印刷の外注を含む)は、下請法の対象になり得ます。対象となる取引では、親事業者は発注時に「3条書面」を『直ちに』交付する義務があり、口頭発注のまま書面を後回しにすること自体がリスクになります。ただし適用の可否は当事者の資本金や取引内容によって変わるため、自社の取引が対象かどうかは公正取引委員会の基準で個別に確認するのが確実です。対象外でも、書面化は検収・支払トラブルの予防に有効です。

印刷発注書の必須記載項目一覧(記載項目表=主役)

印刷の発注書は、下請法3条書面の法定項目に、印刷特有の情報を加えた1枚で構成します。ここで示す記載項目表が本記事の主役で、これを自社様式に落とし込めば記入漏れがほぼ防げます。

印刷発注書の法定12列と印刷特有列をまとめた記載項目表のイメージ
印刷発注書の法定12列と印刷特有列をまとめた記載項目表のイメージ

下請法3条書面の12記載事項(法定の必須項目)

下請法の対象取引では、公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則」に基づき、次の12の事項を書面に記載します。正確な文言・条番号は同規則の原文で確認してください。

#記載事項
1親事業者・下請事業者の名称(事業者別番号でも可)
2製造委託等をした日(委託日)
3下請事業者の給付の内容
4給付を受領する期日(納期)
5給付を受領する場所
6検査を完了する期日(検査する場合)
7下請代金の額
8下請代金の支払期日
9手形を交付する場合の金額・満期
10一括決済方式による場合の記載事項
11電子記録債権で支払う場合の記載事項
12有償支給原材料等の品名・数量・対価・決済方法

印刷特有の記載項目(用紙・加工・色数・入稿データ)

印刷の発注書は、法定12項目だけでは検収で足りません。用紙の銘柄・斤量・サイズ、色数(4C/4C など)、加工(製本・箔・PP・型抜き)、部数、入稿データの保管場所と版数を書かないと、受け取った相手が仕様を確定できず、検収でぶれます。外注発注と用紙発注では必要列が変わるため、1枚の様式で列を出し分けるのが実務的です。

区分追加で必須の列
外注発注品名・仕様・色数・加工・部数・入稿データ保管場所・版数・単価・納期
用紙発注用紙銘柄・斤量(連量)・判型/サイズ・数量(連・枚)・納入先・希望納期

外注発注と用紙発注で列が変わる差分は、上の2列を1枚に併記して運用します。単価欄の金額を原価に落とし込む方法は用紙代・外注費・限界利益の原価計算で、用紙発注と在庫の連携は用紙在庫管理(CSV+再版連携)で詳しく扱っています。

外注発注書と用紙発注書で変わる列を対比した差分の比較図
外注発注書と用紙発注書で変わる列を対比した差分の比較図

記入例:外注印刷1件の発注書サンプル

記載項目表を1件の実例に落とすと、抜けが見つけやすくなります。たとえば「チラシA4両面・4C/4C・コート90kg・1万部・○月○日納品・単価○円・支払は○日締の翌月末」のように、品名から支払条件まで一続きで埋めます。金額・支払期日・検査完了期日まで空欄を残さないことが、検収と支払をスムーズにする条件です。ここで示した数値は書き方を示す例示であり、実際の単価や納期は自社の取引条件に置き換えて記入してください。

印刷の発注書テンプレートの作り方

印刷の発注書テンプレートは、汎用の無料書式を探すより、前掲の記載項目表を自社の頻出項目で様式化するほうが検収と再利用に強くなります。作り方は、列を固定した様式をExcelなどで組み、PDFで交付する流れが基本です。

発注書テンプレ化で書式のバラつきを解消する運用フローの図
発注書テンプレ化で書式のバラつきを解消する運用フローの図

記載項目表をExcel・PDFで様式化する手順

まず記載項目表の列を、Excelやスプレッドシートの見出し行に並べて様式化します。外注用と用紙用でシートを分け、必須列は空欄禁止(未入力ならエラー表示)に設定しておくと、記入漏れがそもそも起きにくくなります。完成した様式は、交付時にPDF化して相手先へ渡します。無料テンプレを探し回るより、自社で実際に使う項目だけで最小の様式を組むほうが、検収と再版時の使い回しに強い書式になります。バージョンを1つに統一し、担当ごとの独自書式を作らせないことが要点です。

書式のバラつき・記入漏れを防ぐ運用ルール

様式を作っても、運用ルールがないと担当ごとに書き方がぶれます。発注番号の採番ルールを決め、必須項目は空欄禁止、発注→検収→支払を同じ番号で紐付ける——この3点をルール化すると、後工程の突合が一気に楽になります。電話やチャットでの口頭発注も、後追いで書面を『直ちに』交付する運用を徹底し、書面のない発注を残さないようにします。ルールを紙で掲示し、新任者にも同じ様式・同じ手順で発注させることが、属人化の予防になります。

下請法・インボイスで押さえる注意点(外注発注書の落とし穴)

外注発注書には、下請法とインボイス制度の両面で見落としやすい落とし穴があります。書面の交付タイミングと、発注書とインボイスの役割の違いを押さえておきます。

3条書面は『直ちに』交付・記載漏れが違反リスク

下請法の対象取引では、発注後『直ちに』3条書面を交付するのが原則で、交付の遅れや12項目の記載漏れ自体が違反となり得ます。「後でまとめて書面化しよう」と口頭発注を続ける運用は、そのままリスクになります。なお2026年時点で下請法の名称変更や規制強化に関する制度改正が話題になることがありますが、施行日や具体的な変更内容は公正取引委員会・中小企業庁の一次資料で最新の内容を確認してください。本記事は一般的な考え方を示すもので、個別の適用は所管官庁の基準が優先されます。

インボイス・請求書との関係(発注書は適格請求書ではない)

発注書は適格請求書(インボイス)ではありません。仕入税額控除の証憑になるのは、外注先や用紙仕入先から受け取る適格請求書のほうで、発注書に発注側の登録番号を書く必要は原則ありません。発注書は「発注の意思表示」、インボイスは「代金請求と控除の根拠」と役割が分かれます。自社が発行する側の請求書・インボイスの実務は、印刷のインボイス対応・請求書/発注書の出し方で扱っています。発注書(発注側)と請求書(受注側)を混同しないことが、経理処理を正確に保つ前提です。

再版・リピート発注を効率化する発注書運用

再版・リピート発注では、発注書の作り直しに毎回時間がかかるのが最大のムダです。前回の発注仕様を呼び出せる形にしておけば、発注書の再作成は数クリックで済み、記載漏れも減ります。

再版発注は『前回の発注仕様』の呼び出しが要

再版・リピート発注では、前回の用紙・加工・単価・入稿データ保管場所を毎回ゼロから探し直すのが非効率で、単価ブレの原因にもなります。前回いくらで発注したかを確認せずに手配すれば、原価が変わっているのに旧単価のまま出してしまう事故も起こります。前回発注仕様をデータベース化して呼び出せる状態にしておけば、発注書の再作成が数クリックで済み、記載漏れも減ります。再版仕様の蓄積方法は再版データベースの作り方で具体的に解説しています。

発注書をPDF/CSV出力し属人化を解消する

前回発注仕様の呼び出しと発注書の様式化を1つの仕組みにまとめると、担当が代わっても同じ品質で発注できます。

印刷HUBは、見積・再版データベースと紐づけて発注書をPDF/CSVで出力でき、前回発注仕様をワンクリックで呼び出せます。外部システムとの直接連携ではなく、PDF/CSV出力で仕入先や会計ソフトへ渡す方式のため、機械連携を前提にせず今の運用のまま導入できます。初期費用¥30,000(税込)・月額¥2,980/名(税込・6名以上、1〜5名は¥4,980/名・税込)から利用でき、発注書まわりの属人化を解消できます。使い勝手は無料で製品体験の形で確認できます。

再版データベースから前回発注仕様を呼び出し発注書をPDF/CSV出力する流れの図
再版データベースから前回発注仕様を呼び出し発注書をPDF/CSV出力する流れの図

よくある質問(FAQ)

Q. 印刷の発注書に必ず書くべき項目は?

A. 下請法の対象取引では、3条書面の12記載事項(両者の名称・委託日・給付内容・受領期日・下請代金の額・支払期日ほか)が基本です。印刷ではこれに用紙・加工・色数・部数・入稿データ保管場所を加えます。12項目の正確な文言・条番号は、公正取引委員会「第3条の書面の記載事項等に関する規則」で確認してください。本文の記載項目表を自社様式に落とし込むのが早道です。

Q. 印刷の発注書のテンプレートは無料でどこで手に入る?

A. 汎用の無料テンプレを探すより、本記事の記載項目表をExcelやスプレッドシートで様式化し、PDF化して自社書式にするほうが、検収と再利用に強くなります。外注用と用紙用で必要な列を出し分けるのがポイントです。印刷HUBでは発注書をPDF/CSVで出力できるため、様式づくりから運用まで一本化できます。

Q. 外注(協力会社)への印刷発注は下請法の対象になりますか?

A. 親事業者・下請事業者の資本金区分などの要件を満たす製造委託は、下請法の対象になり得ます。対象なら、発注時に3条書面を『直ちに』交付する必要があります。ただし適用可否は当事者の資本金や取引内容で変わるため、自社の取引が対象かどうかは公正取引委員会の基準で個別に確認してください。断定せず、まず一次資料で判定するのが安全です。

Q. 発注書と注文書・注文請書・請求書の違いは?

A. 発注書・注文書は発注側が発注内容を示す書面、注文請書は受注側がそれを承諾する書面、請求書は受注側が代金を請求する書面です。発注書は発注側から相手先へ、請求書は相手先から発注側へと流れが逆になります。印刷会社が受け取る/発行する請求書・インボイスの実務は、発行側を扱う別記事に整理しています。

Q. 印刷の発注書に印鑑や収入印紙は必要ですか?

A. 発注書単体は、押印がなくても発注として成立する運用が一般的です。ただし契約書として扱う書式や、記載内容によっては課税文書に該当し、収入印紙が必要になる場合があります。印紙の要否は国税庁の基準で判断が分かれるため、自社の書式が課税文書に当たるかは一次資料で確認してください。断定せず条件を確認するのが確実です。

まとめ|印刷の発注書は記載項目表のテンプレ化がカギ

印刷の発注書は、下請法3条書面の12記載事項に、用紙・加工・色数・入稿データといった印刷特有の項目を加えた1枚で構成します。この記載項目表を自社様式に落とし込み、外注用・用紙用で列を出し分けてテンプレート化すれば、記入漏れと検収・支払トラブルは大きく減らせます。発注番号での紐付けと空欄禁止の運用ルールを添え、再版発注では前回仕様を呼び出せる形にしておくことで、発注業務は速く・正確になります。まずは記載項目表を自社の発注書に落とし込むところから始めてください。


監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表) 印刷会社の受発注・工程・原価管理など基幹業務のデジタル化に取り組み、本記事は現場の印刷業の実務担当者への取材をもとに内容を設計・確認しています。

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