印刷業の化学物質管理者|選任対象と役割分担【2026年版】
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印刷業の化学物質管理者|選任対象と役割分担【2026年版】

2026年8月31日18分で読める

化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う印刷事業場ごとに事業者が選任し、必要な権限を与えて氏名を周知します。印刷会社という業種だけで一律に選任するのではなく、各事業場で扱うインキ、洗浄剤、湿し水、接着剤等が対象物かを先に確認します。

本記事では、製造事業場と取扱事業場の要件、選任事由発生から14日以内という期限、権限付与、周知を順に整理します。有機溶剤作業主任者、化学物質管理者、保護具着用管理責任者の3役を比較し、資材や工程の変更時に体制を見直す方法まで示します。

化学物質管理者の選任対象

リスクアセスメント対象物を扱う事業場か確認する

労働安全衛生規則12条の5は、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う事業場ごとに化学物質管理者を選任するよう事業者へ求めています。「事業者ごと」ではなく「事業場ごと」であるため、複数工場があれば各工場の資材と作業を確認します。

対象確認では、仕入品名だけでなくSDS、ラベル、使用工程、保管、混合、廃棄までを一覧にします。労働安全衛生法57条の3のリスクアセスメント対象かを確認し、対象でない資材まで一律に選任根拠へ含めないでください。

本社で一つの資材台帳を持っていても、各工場の採用品、使用工程、保管場所が同じとは限りません。事業場ごとの現物確認と仕入記録を照合し、使用を終了した資材と新規採用品を区別したうえで選任対象を更新します。

資材・SDS・取扱工程から選任対象事業場かを確認するフロー
資材・SDS・取扱工程から選任対象事業場かを確認するフロー

製造事業場と取扱事業場の要件を分ける

対象物を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める講習の修了者または同等以上の能力を有すると認められる者から選任します。対象物を製造せず取り扱う事業場では、これらに加え、担当事項に必要な能力を有すると認められる者も候補になります。

この違いは労働安全衛生規則12条の5に基づき、まず自社の事業場がどちらに当たるかを確認するためのものです。資材を配合・調製する作業があるから直ちに「製造事業場」と決めず、対象物と業務の実態を一次資料へ照合します。

確認区分対象の見方選任候補の確認主な証跡
対象物の製造事業場対象物を製造するか所定講習修了者または同等能力対象物、業務、能力確認
製造以外の取扱事業場対象物を取り扱うか上記または担当事項に必要な能力SDS、工程、能力確認
対象外と判断した事業場対象物の該当性を確認選任根拠の有無を記録確認資料、確認日、再確認条件
製造事業場と製造以外の取扱事業場で選任候補要件を比べる図
製造事業場と製造以外の取扱事業場で選任候補要件を比べる図

選任から周知までの実務

選任事由発生から14日以内に選ぶ

化学物質管理者は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任します。新しい対象物の採用、対象となる工程の開始、新工場の稼働など、何を事由発生日と扱うかを資材導入や工程変更の承認フローへ置きます。

選任日だけを管理すると、期限の起点が分かりません。事由、発生日、対象事業場、候補者の能力確認、選任日を一組にし、担当者交代時の再選任も同じ様式で記録してください。

必要な権限を与える

事業者は、化学物質管理者に担当事項を行うために必要な権限を与えます。肩書だけを付けるのではなく、SDSの入手、リスクアセスメントの実施管理、措置の確認、関係部署への是正依頼など、社内で実行できる範囲を明確にします。

権限表には対象事業場、対象資材、閲覧できる記録、依頼できる措置、報告先を置きます。生産判断や購買判断との境界も決め、管理者が問題を把握しても変更を依頼できない状態を避けてください。

たとえば新規資材の採用前確認、換気設備の改善依頼、作業手順の是正、保護具使用状況の確認を誰へ求められるかを明示します。必要な情報へアクセスできることと、措置が未完了のときに経営者へ報告できる経路も権限設計に含めます。

氏名を掲示等で周知する

選任後は、化学物質管理者の氏名を常時各作業場の見やすい箇所へ掲示するなどして、関係労働者へ周知します。掲示物の更新だけでなく、交代勤務や別棟の作業者が相談先を認識できるかを確認します。

選任、権限付与、周知は3つの別項目です。一つでも欠けないよう、選任日、権限承認日、掲示確認日と場所を並べた実施表を使います。

選任事由発生から14日以内の選任・権限付与・氏名周知タイムライン
選任事由発生から14日以内の選任・権限付与・氏名周知タイムライン

三つの役割を分ける

有機溶剤作業主任者との違い

有機溶剤作業主任者は、施行令と有機則の対象作業で、作業方法の決定・指揮、換気装置の点検、保護具の監視等を担います。化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場の化学物質管理を担当するため、対象と職務を同一視しません。

選任対象を確認する順序は、印刷工場の有機溶剤作業主任者印刷工場の安全衛生・化学物質管理年間カレンダーで比較できます。3役の兼任可否は同梱一次資料に明文がないため、一律に可否を断定せず、各資格・能力と職務遂行を個別に確認します。

保護具着用管理責任者が必要な場合

労働安全衛生規則12条の6は、化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメント結果に基づく措置として労働者へ保護具を使用させる場合などに、保護具着用管理責任者を選任するよう定めています。こちらも選任事由発生から14日以内です。

保護具を置いている事実だけから自動的に結論づけず、条文上の条件とリスクアセスメント結果を照合します。選任した場合は、保護具の適正な選択、使用、保守管理に関する担当と記録を化学物質管理者の業務と分けます。

役割対象の起点主な役割選任契機兼任確認で見ること
化学物質管理者対象物を製造・取扱う事業場化学物質管理、リスク評価・措置の管理選任事由発生能力、権限、事業場単位
有機溶剤作業主任者対象業務・作業場所作業方法、指揮、換気点検、保護具監視対象作業の実施資格、現場職務、勤務体制
保護具着用管理責任者RA結果に基づき保護具を使用させる場合等保護具の選択・使用・保守管理条文上の事由発生能力、職務時間、独立性

この3役比較表は、各条文の対象・職務を印刷事業場の担当体制へ割り付けた独自編集フレームです。兼任可否や適法性を自動判定する表ではなく、不足する資格・能力・権限を確認するために使います。

化学物質管理者・有機溶剤作業主任者・保護具着用管理責任者の役割比較
化学物質管理者・有機溶剤作業主任者・保護具着用管理責任者の役割比較

印刷資材と担当を対応させる

資材追加・工程変更時に体制を見直す

新しいインキ、洗浄剤、湿し水、接着剤等を採用するときは、SDS確認と同時に選任体制を見直します。工程変更、使用場所の変更、保護具使用の追加も再確認の契機として、変更前の担当表を上書きしないようにします。

変更申請には、資材コード、対象工程、使用開始日、SDSの版、リスクアセスメント実施状況、関係する3役を記します。承認後に使用場所や手順が変わった場合も別の変更として残し、選任済みという理由だけで再確認を省かない運用にします。

資材・変更事業場対象判定関係する役割確認日次の確認契機
新規インキ印刷工程SDS・取扱いを確認化学物質管理者等導入承認日配合・作業方法変更
洗浄剤変更印刷工程対象物・有機溶剤業務を確認管理者・主任者資材変更日SDS改訂・場所変更
接着剤追加加工工程対象物・保護具措置を確認管理者・保護具責任者工程開始日設備・作業変更

この資材×事業場×担当体制マップは、印刷HUBの作業指示、4工程ボード、監査ログという実装事実を基にした独自編集表です。印刷の作業指示書を電子化する方法印刷の入稿データ保管・管理方法を応用し、変更日と資料所在を追います。

資材や工程を変更したときに対象判定と担当体制を見直すフロー
資材や工程を変更したときに対象判定と担当体制を見直すフロー

資材と作業指示の変更を案件側へ残し、変更前後を監査ログで追う補助運用は、印刷HUBの資料請求・無料で製品体験で確認できます。人事・安全衛生台帳やSDS管理の専用機能ではありません。

よくある質問(FAQ)

すべての印刷会社で選任が必要ですか

いいえ。リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場かを確認します(労働安全衛生規則12条の5)。会社単位で一律に決めず、各工場の対象物と取扱工程を確認してください。

選任期限はいつですか

選任すべき事由が発生した日から14日以内です。選任後は必要な権限を与え、氏名を掲示等で周知します(労働安全衛生規則12条の5)。

保護具着用管理責任者も必ず選任しますか

必ずではありません。リスクアセスメント結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させる場合等、条文上の条件に該当するときに選任します(労働安全衛生規則12条の6)。

まとめ

化学物質管理者は、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う事業場ごとに、選任事由発生から14日以内に選任します。製造事業場と取扱事業場の候補要件を分け、権限付与と氏名周知までを完了してください。

有機溶剤作業主任者と保護具着用管理責任者は対象と職務が異なります。資材追加や工程変更を体制見直しの契機にし、印刷HUBの変更履歴は補助情報、法定の選任・周知記録は別管理と役割を分けます。


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監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

印刷会社の受発注・工程・原価管理など基幹業務のデジタル化に取り組み、本記事は化学物質管理者と関係する役割を事業場・資材単位で整理できるよう設計・確認しています。

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