
印刷会社の産業廃棄物管理|廃インキ・廃液・損紙の実務【2026年版】
印刷会社は廃インキ・廃液・損紙等を出す排出事業者として、種類確認、適切な委託、マニフェスト交付・照合、証跡保存までを自社の責任で管理します。処理業者へ引き渡した時点で責任がすべて移るのではなく、委託基準と処理状況を排出事業者側で確認します。
本記事では、プリプレス・印刷・加工・納品の4工程で発生物を棚卸しし、種類確認、契約・許可、交付・登録、終了確認、異常対応を一つの流れにします。個々の資材を法定種類へ一律に当てはめず、自治体や許可を持つ処理業者へ確認する情報をそろえます。
印刷会社の産業廃棄物管理の全体像
排出事業者である印刷会社が責任を負う
廃棄物処理法3条は、事業者がその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理する責務を定めています。産業廃棄物の処理・委託基準は同法12条にあり、廃インキ、廃液、損紙等を出す印刷会社が排出事業者として確認します。
委託後も、委託先の許可範囲、契約、引渡し、マニフェスト、終了確認を管理します。制度の起点はe-Govの廃棄物処理法で確認し、処理費用を支払ったことだけで自社の管理が終わったとは扱いません。

発生から照合までを一つのフローで管理する
管理工程は、発生、種類確認、保管・引渡し、委託、交付・登録、終了確認、記録の7段階に分けます。各段階の担当、確認資料、証跡を決め、途中の情報が処理業者の伝票だけに残らないようにします。
| 段階 | 排出事業者の確認 | 担当例 | 主な資料・証跡 |
|---|---|---|---|
| 発生 | 工程、発生物、数量、性状 | 現場・工務 | 作業記録、写真、計量 |
| 種類確認 | 法定種類候補と個別確認 | 安全・総務 | SDS、照会記録 |
| 保管・引渡し | 保管状況、引渡し単位 | 現場・総務 | 保管記録、引渡し記録 |
| 委託 | 運搬・処分、許可範囲、契約 | 総務・管理 | 許可証、契約、添付書面 |
| 交付・登録 | 紙の交付または電子登録 | 引渡担当 | 管理票写し、登録記録 |
| 終了確認 | 運搬・処分・最終処分 | 総務・管理 | 返送写し、通知 |
| 記録 | 起算点、保存、異常対応 | 管理責任者 | 台帳、報告記録 |
廃インキ・廃液・損紙等の種類を確認する
性状・発生工程・法定種類を突き合わせる
廃棄物処理法2条と施行令2条は、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、金属くず、紙くず等の種類を定めています。ただし、廃インキ、洗浄廃液、現像廃液、損紙、版、ウエス、空缶という資材名と法定種類を一対一で結び付ける根拠にはなりません。
発生工程、液状・固形などの性状、成分、混合状態、荷姿を確認し、種類候補を整理します。紙くずには業種に関する規定もあるため、全国のすべての印刷関連事業へ同じ結論を広げないでください。

自治体・処理業者へ確認する情報をそろえる
照会時には、SDS、写真、性状、発生工程、混合物、保管方法、荷姿、予定量をそろえます。自治体の運用や処理業者の許可範囲によって個別確認が必要なため、回答日、確認先、回答者、前提条件を記録します。
名称だけを伝えて電話回答を得るのではなく、何をどの工程から出したかを共通の確認票で示します。回答後に資材や工程が変わった場合は、前回の結論を自動で流用せず、変更条件を付けて再確認します。
委託契約と許可範囲を管理する
運搬・処分を事業範囲ごとに確認する
収集運搬と処分は役割が異なるため、それぞれの委託先が対象廃棄物と区域・事業範囲を許可に含むかを確認します。複数業者が関わる場合は、誰がどこからどこまで運び、どこでどの処分を行うかを委託フローへ置きます。
許可の有効期間は一律の数値を記載せず、最新の許可証と行政情報で確認します。印刷会社の協力会社・外注先管理とは台帳を共有できても、一般取引先評価と産廃の許可範囲確認を同じ欄で済ませないでください。
契約・許可証・添付資料の版と期限を管理する
産業廃棄物処理の委託は書面契約とし、運搬・処分の事業範囲、対象廃棄物、必要事項、許可証等の添付書面を確認します。契約書と添付書面は契約終了の日から5年間保存することが廃棄物処理法施行令6条の2と施行規則8条の4の3で確認できます。
作成日や契約締結日から一律に5年とせず、契約終了日を起算点として台帳へ置きます。契約版、添付した許可証の版、対象廃棄物、委託範囲、確認者を一組にしてください。

マニフェストを交付・照合する
引渡しと交付・登録を対応させる
紙マニフェストは産業廃棄物の引渡しと同時に交付し、種類ごと、運搬先が複数なら運搬先ごとに管理します。電子マニフェストの初回登録は引渡し後3日以内で、土曜・日曜・祝日、1月2日・3日、12月29日から31日を除くことが施行規則8条の31の6に定められています。
紙と電子を併用する場合も、引渡日、種類、数量、運搬受託者、処分受託者、運搬先を同じ排出記録へ結び付けます。電子を利用すれば常に紙が不要になるとは書かず、廃棄物処理法12条の5の接続・登録・終了報告等の条件を確認します。

終了通知・写しを照合し異常を確認する
運搬・処分受託者が写しを送付する期間は、各終了日から10日です。一方、管理票の交付日から90日、特別管理産業廃棄物は60日、最終処分終了の写しは180日という期間は、排出事業者が未受領時の状況把握と措置へ移る起点であり、10日と意味が異なります。
紙管理票の交付時に残した写しは交付日から5年、送付を受けた写しは受領日から5年保存します。これらの値と起算点は施行規則8条の21の2・23・25・26・28で確認し、返送日と受領日を同じと決めつけないようにします。
案件・工程と廃棄物証跡を結ぶ
法定記録と案件原価・作業履歴を分けてひも付ける
法定記録は管理票番号、契約、許可、種類、引渡日、終了通知を中心に管理し、案件側には発生工程、使用資材、発生量、外注先、関連する変更履歴を置きます。案件原価へ処理費を計上しても、それだけで法定記録を満たすものではありません。
| 印刷工程 | 発生物の候補 | 種類確認 | 委託・許可 | 交付・登録 | 案件側の補助情報 |
|---|---|---|---|---|---|
| プリプレス | 現像廃液、版等 | 性状・工程・照会 | 対象種類と処分範囲 | 引渡し単位 | 作業指示、資材、変更 |
| 印刷 | 廃インキ、洗浄廃液、ウエス等 | SDS・混合・荷姿 | 運搬・処分範囲 | 種類・運搬先 | 案件、工程、原価 |
| 加工 | 接着剤残さ、損紙等 | 性状・工程 | 委託先・契約 | 引渡し単位 | 加工指示、外注履歴 |
| 納品 | 梱包材、空缶等 | 材質・発生工程 | 対象種類・区域 | 該当時に管理 | 納品工程、取引先 |
この「発生工程×管理行為×証跡」マップは、印刷HUBの4工程ボード、案件別原価、作業指示、監査ログという実装事実を基にした独自編集フレームです。法定種類の判定やマニフェスト管理を行う表ではなく、法定証跡と案件履歴の関連を確認するための補助表です。

印刷会社の外注管理・発注管理と印刷の作業指示書を電子化する方法を使い、委託先や作業変更を案件へ残せます。ただし、印刷HUBには産廃契約・マニフェスト・期限通知の専用機能はありません。
発生案件、作業指示、外注先、変更履歴を案件側で整理する補助運用は、印刷HUBの資料請求・無料で製品体験で確認できます。管理票と法定記録は要件を満たす別の方法で管理してください。
よくある質問(FAQ)
産業廃棄物処理の責任は処理業者へ移りますか
委託後も排出事業者責任は残り、印刷会社自身が委託基準と処理状況を管理します(廃棄物処理法3条・12条)。処理業者への引渡しや費用支払だけで自社の確認が完了するものではありません。
廃インキや損紙の種類は全国一律ですか
全国一律には断定できません。法定種類を確認したうえで、性状、発生工程、自治体運用、処理業者の許可範囲を突き合わせます(廃棄物処理法2条、同施行令2条)。
印刷HUBでマニフェストを管理できますか
マニフェスト専用機能はありません。案件・取引先・作業履歴の整理は補助できますが、管理票は法令要件を満たす別の方法で管理します(廃棄物処理法12条の3・12条の5)。
まとめ
印刷会社は排出事業者として、発生、種類確認、保管・引渡し、委託、交付・登録、終了確認、記録を自社で管理します。廃インキ・廃液・損紙等を資材名だけで一律分類せず、性状、発生工程、自治体運用、処理業者の許可範囲を照合してください。
法定証跡と案件・原価・作業履歴は役割を分け、共通の発生工程や引渡し記録で関連付けます。印刷HUBは案件側の整理を補助しますが、産廃契約やマニフェストの専用管理機能ではありません。異常時には法定記録側から確認し、委託先への照会と必要な措置を確認日・担当者名つきで記録してください。
発生案件・作業指示・外注先・変更履歴を整理したい方は、印刷HUBの資料請求・無料で製品体験をご利用ください。料金プランでは導入条件を確認できます。
監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
印刷会社の受発注・工程・原価管理など基幹業務のデジタル化に取り組み、本記事は印刷廃棄物の発生から照合までを排出事業者の流れとして設計・確認しています。
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